【共同研究T-A】子供を守るための地域連携研究
◇研究概要
1. 研究期間 2018年4月〜2019年3月
2. 研究組織
研究会代表 石川 正興(WIPSS所長)
研究会構成員 石田 咲子(WIPSS研究所員)
江ア 澄孝(WIPSS招聘研究員)
小西 暁和(WIPSS研究所員)
宍倉 悠太(WIPSS招聘研究員)
西谷 晴美(WIPSS招聘研究員)
吉開 多一(WIPSS招聘研究員)
3.研究
(1)愛知県警察本部聞き取り調査・意見交換
日時:2018年8月6日(月)13:30−16:30
応対者:瀧 康仁氏(愛知県警察本部生活安全部少年課課長補佐)
若尾 和史氏(愛知県警察本部生活安全部少年課係長)
冨田 幸宏氏(愛知県警察本部生活安全部少年課課長補佐)
岡ア 正樹氏(愛知県警察本部生活安全部少年課課長補佐)
調査事項:愛知県警察本部生活安全部少年課における非行・不良行為少年等への対応・支援に関する多機関連携の現状と課題
【調査の結果判明した事実の概要】
愛知県警察本部生活安全部では平成30年4月18日に、愛知県健康福祉部との間で「児童相談所と警察の児童虐待に係る事
案の情報共有に関する協定書」が締結された。これにより、県が管轄する児童相談所が把握した児童虐待情報全てを県警に
提供する仕組みが確立した。全件通報の取組は愛知県が三県目である。
また、愛知県警察本部から名古屋市の児童相談所に現職の警察官を3名派遣しており、児童相談所からの援助要請の対応等に
ついて円滑に連携が行われている。
(2)宮城県警察本部の聞き取り調査・意見交換
共同研究I-Aの遂行の一環として、以下に掲げる調査研究メンバーは、2019年2月22日(金)に宮城県警察本部及び「少年
サポートセンターせんだい」を訪問し、宮城県警察本部生活安全部少年課及び県民安全対策課の担当者の方々に対して聞き取
り調査を行うとともに、意見交換を実施しました。お忙しい最中ご協力いただいた皆様に対しましては、この場をお借りして
感謝申し上げます。
【訪問メンバー】
石川 正興(WIPSS所長)
小西 暁和(WIPSS研究所員)
石田 咲子(同上)
江ア 澄孝(WIPSS招聘研究員)
◇宮城県警察本部・少年サポートセンターせんだい聞き取り調査・意見交換
日時:2019年2月22日(金)13:00−17:30
応対者:天野 英克氏(宮城県警察本部生活安全部少年課長)
石原 智子氏(宮城県警察本部生活安全部少年課少年相談指導官)
森 幸一氏(宮城県警察本部生活安全部少年課課長補佐)
坂内 和子氏(宮城県警察本部生活安全部少年課課長補佐)
佐藤 正行氏(宮城県警察本部生活安全部県民安全対策課課長補佐)
調査事項:宮城県における非行・不良行為、児童虐待等の対応に関する他機関連携の現状と課題
【調査結果の概要】
(1)宮城県警察本部生活安全部少年課においてスクールサポーター制度は2007年4月1日から開始されたが、@スクール
サポーターの常駐派遣と、Aスクールサポーターの構成員に元警察職員のみならず、元教員が含まれている点に特色があ
る。すなわち、元警察職員と元教員で構成される計14名の非常勤職員のスクールサポーターが、学校長からの派遣要請
に応じて二人一組のペアで派遣され、一定期間学校に常駐する形態を採る。さらに特筆すべきは、「宮城県警察本部少年
課と仙台市教育委員会との間で行われる相互人事交流(2005年4月1日開始)」により仙台市教育局学校教育部教育相談
課から少年課に派遣された指導主事が、スクールサポーターの派遣に当たって積極的な役割を担っている点である。
具体的には、当指導主事はスクールサポーター派遣前に学校関係者等と事前協議を行って支援計画の概略を立て、当該
事案解決に相応しいスクールサポーターを選定するとともに、常駐派遣の継続・一時停止・終結等の判断において適切に
関与することになっている。
(2)2018年2月26日に、「少年の立ち直り支援活動に関する協定」が仙台少年鑑別所との間で締結された。これによ
り、少年鑑別所と連携して対象少年の面接・心理検査が実施され、そこでの見立てや具体的な助言に基づいて、少年サポ
ートセンターの職員等による少年一人ひとりの特性に応じた立ち直り支援活動が効果的に行われることになった。
(3)埼玉県警察本部生活安全部少年課等の聞き取り調査・意見交換
「共同研究I-A」の調査研究のメンバーは、2019年7月19日(金)に埼玉県警察本部生活安全部少年課、ならびに警察本
部の建物の外に設置されている同県警少年サポートセンターを訪問して聞き取り調査を行うとともに、意見交換を実施した。
以下にその概略を紹介する。
お忙しい最中ご協力いただいた埼玉県警察本部の皆様に対しては、この場を借りて感謝申し上げたい。
◇埼玉県警察本部生活安全部少年課・同県警少年サポートセンター聞き取り調査・意見交換
日時:2019年7月19日(金)10:00−16:00
【訪問メンバー】
石川 正興(WIPSS顧問)
石田 咲子(WIPSS研究所員)
江ア 澄孝(WIPSS招聘研究員)
宍倉 悠太(同上)
西谷 晴美(同上)
応対者:會田 雄一氏(埼玉県警察本部生活安全部少年課長)
浦住 健一氏(埼玉県警察本部生活安全部少年課課長補佐)
山口 東氏(埼玉県警察本部生活安全部少年課課長補佐)
細木原 政義氏(埼玉県警察本部生活安全部少年課少年サポートセンター所長)
芹田 卓身氏(埼玉県警察本部生活安全部少年課課長補佐)
小島 慎介氏(埼玉県警察本部生活安全部少年課課長補佐)
瀬戸 徹哉氏(埼玉県警察本部生活安全部少年課課長補佐)
ほか2名
調査事項:埼玉県における非行・不良行為、児童虐待等の対応に関する多機関連携の現状と課題
【調査結果の概要】
(1)埼玉県警察本部少年課では、非行・不良行為、児童虐待等の対応のために関係機関との間で活発な人事交流を実施し
ている。すなわち、第一に学校・教育委員会との関係で、県警少年課から埼玉県教育局生徒指導課へ「派遣」の形で警部
補が1名、「出向」の形で警部が1名送られている。第二に児童福祉行政との関係で、埼玉県県民生活部青少年課、埼玉県
福祉部こども安全課、さいたま市児童相談所へ「出向」という形でそれぞれ警部が1名ずつ送られているほか、県内7か
所の県児童相談所にも各2名ずつ、計14名の警察OBが配置されている。
こうした積極的な人事交流の結果、少年・児童に関する事件について効果的で適正な対応が行われている。一例を挙
げれば、近年、警察が児童相談所に通告した児童虐待ケースにおいて、児童が死亡するなどの重篤な事案は発生してい
ないといった成果が挙がっている。
(2)埼玉県警察本部生活安全部少年課では、スクールサポーター制度が全国に先駆けて2002年4月1日から開始された。
埼玉県警のスクールサポーター制度の特色としては、@40名いるスクールサポーターのうち、警察OB以外に教員OBが
約2割を占めていること、Aスクールサポーターは学校ごとに担当が決められているのではなく、非行・問題行動が深刻
化した学校からの要請に基づき、基本は「二人一組の男女のペア」が1年から1年半の期間を目安として派遣されるこ
と、B上記の学校からの派遣要請は中学校に限られていること、などの点が挙げられる。
◇研究概要
1. 研究期間 2019年4月〜現在
2. 研究組織
研究会代表 小西 暁和(WIPSS研究所員)
研究会構成員 石田 咲子(WIPSS招聘研究員)
江ア 澄孝(WIPSS招聘研究員)
宍倉 悠太(WIPSS招聘研究員)
西谷 晴美(WIPSS招聘研究員)
吉開 多一(WIPSS招聘研究員)
3.研究
(1)静岡県警察本部・静岡市児童相談所聞き取り調査・意見交換
共同研究I-Aの遂行の一環として、以下に掲げる調査研究メンバーは、2025年3月13日(木)に静岡県を訪問し、静岡市
児童相談所、静岡県警察本部・静岡地区少年サポートセンターの各種機関の担当者の方々に対して聞き取り調査を行うとと
もに、意見交換を実施しました。お忙しい最中ご協力いただいた皆様に対しましては、この場をお借りして感謝申し上げま
す。
【訪問メンバー】
小西 暁和(WIPSS研究所員)
石田 咲子(WIPSS招聘研究員)
江ア 澄孝(同上)
西谷 晴美(同上)
世取山 茂(同上)
◇静岡市児童相談所
日時:2025年3月13日(木)10:30−11:30
応対者:大石 剛久氏(静岡市児童相談所参与兼所長)
滝井 一仁氏(静岡市児童相談所初動係係長)
戸田 晋太郎氏(静岡市児童相談所相談係係長)
中村 佑馬氏(静岡市児童相談所支援第2係主幹兼副主幹)
調査事項:静岡市児童相談所における多機関連携の現状と課題及び非行相談等の状況
【調査の結果判明した事実の概要】
平成30年度末に「児童相談所と警察との情報共有等の取扱いに関する協定書」が締結された。また、警察OBが1名、
令和5年度からは県警本部生活安全部人身安全少年課から現職の警部が1名派遣されており、児童相談所と警察との連携
が強化されている。さらに、児童虐待事案に関して援助要請を想定した警察との臨検・捜索の合同訓練を年に1回実施し
ている。なお、情報共有については、要保護児童等情報共有システムに登録することは個人情報の目的外利用・提供にあ
たるというのが市の個人情報担当部署の見解のため、市児童相談所では全件登録ができていないという課題があり、シ
ステムを作るだけではなく個人情報保護法の適用除外に規定するなど国に対する法整備の要望も提起された。
◇静岡県警察本部・静岡地区少年サポートセンター
日時:2025年3月13日(木)13:30−16:30
応対者:津田 隆好氏(静岡県警察本部長)
前芝 秀光氏(静岡県警察本部生活安全部人身安全少年課子供女性安全児童虐待対策補佐)
尾藤 厚至氏(静岡県警察本部生活安全部人身安全少年課企画課長補佐)
小井土 正和氏(静岡県警察本部生活安全部人身安全少年課企画係)
堀野 良介氏(静岡県警察本部生活安全部人身安全少年課企画係)
橋 恵理子氏(静岡県警察本部生活安全部人身安全少年課静岡地区少年サポートセンター補佐)
調査事項:静岡県警察本部生活安全部少年課における非行・不良行為少年等への対応・支援に関する多機関連携の現状と
課題
【調査の結果判明した事実の概要】
静岡県警察本部生活安全部では、令和2年度から静岡県中央児童相談所へ警部の出向を行っており、令和4年度からは
静岡県が管轄する5か所の児童相談所に児童相談所職員との身分を併任する警部補(併任警察官)を配置している。併任
警察官は、立入調査や質問等児童相談所職員の職務権限を有しているため、児童虐待事案に的確に対応することができ、
児童相談所とのスムーズな連携を行っている。これは静岡県独自の取組である。また、令和5年度から政令市の各児童相
談所に警部を派遣している。さらに、令和4年度から静岡大学教育学部と連携し、闇バイト加担防止などの非行・犯罪被
害防止教材を制作しており、その他教育委員会や学校、少年院との連携など静岡県警では様々な機関との連携が行われ
ている。
<静岡県警察本部生活安全部人身安全少年課及び静岡地区少年サポートセンターの建物外観>
以上