- 開催日時:2026(令和8)年3月14日(土)13:00−16:30
- 開催場所:会場:早稲田大学早稲田キャンパス8号館4階408教室及びオンラインでの開催(Zoomウェビナー)
- 報告者・報告タイトル:
テーマ:「民事的・行政的対応を含む社会安全政策の多角的・包括的検討〜弁護士実務の観点から」
第一部 各報告者からの報告
清水 史 招聘研究員(弁護士)
「犯罪被害者支援弁護士活動の現状と課題」
渡邉 祥子 招聘研究員(弁護士、にじいろ面会交流支援代表)
「家庭内暴力事案等への対応における弁護士活動の現状と課題」
野尻 裕一 招聘研究員(弁護士)
「国家賠償請求訴訟から見た矯正実務の現状と課題」
第二部 パネルディスカッション・質疑応答
登壇者:第一部報告者3名
総合司会・コーディネーター:宍倉 悠太 招聘研究員(国士舘大学法学部教授)
- 報告概要:
はじめに、総合司会から趣旨説明がなされ、第一部では、各報告者からの報告が行われた。
第一報告では、清水招聘研究員より、被害者支援に関係する機関の紹介と、その一つである弁護士の活動における被害者支
援の役割について紹介があった後、架空の事例を通じて、初動から公判・判決、損害賠償命令申立といった各段階において弁
護士が具体的に犯罪被害者支援にどのように関わるのかについてご報告いただいた。その上で、課題として、関係機関の具体
的な連携強化や、加害者からの実効性のある損害賠償金の回収にあたっての法改正の必要性、犯罪被害者支援における心理職
の積極的関与の必要性について検討いただいた。
第二報告では、渡邉招聘研究員より、DV事案の難しさについて、定義の曖昧さの問題のほか、被害者の生命身体の安全確保
とともに刑事手続き・DV防止法手続き・家事手続きが混然一体となり進行することの紹介があった後、本人のDV被害による自
己肯定感喪失や精神的不安定により、警察段階で被害者が対応の方向性を決定することの困難や、犯罪としての立証水準の高
さに伴う刑事事件化の困難、被害者の経済困窮や子どもの養育継続に伴い物理的及び法的に加害者と被害者を引き離すことの
困難についてご報告いただいた。その上で、課題として弁護士活動としての支援の限界について検討いただいた。
第三報告では、野尻招聘研究員より、訟務制度の概要と法的根拠、訟務手続きの流れと国家賠償法および刑事収容施設法の
重要条文について紹介があった後、自身が関わった矯正国賠訴訟の裁判例の検討が行われ、各判決の意義について報告いただ
いた。その上で、刑事施設の職員の行動規範・実際の処遇体制に鑑み、受刑者に対する「人間的な対応」と「人権的な対応」
を両立した処遇はどうあるべきかについて検討いただいた。
第二部では、「@犯罪被害者支援・家庭内暴力事案への介入から見た刑事的対応の限界」及び「A訟務事件から見た加害者
処遇のあり方」をテーマにパネルディスカッションが行われた。@については、コーディネーターから犯罪被害者や家庭内暴
力被害者支援のためのワンストップ支援の在り方、DV被害者に過度な負担が及ぶ支援手続きの在り方が問題提起され、その解
決のための多機関・多職種連携の在り方等についてフロアから質疑応答が行われた。また、Aについてはコーディネーターか
ら訟務事案の実態や矯正実務に対して訟務がもたらす意義について問題提起され、さらに訟務を通じて見たときの今後の拘禁
刑の運用の方向性について、その実現可能性を踏まえた検討の必要性が議論された。
なお、早稲田大学社会安全政策研究所では、今後も民事的対応や行政的対応など、多様な観点から社会安全政策に従事する
弁護士による実践報告を通じ、その多角的・包括的検討をテーマにした定例研究会を継続的に開催していく予定である。
<報告をされる清水招聘研究員> <報告をされる渡邉招聘研究員>
<報告をされる野尻招聘研究員> <第二部パネルディスカッションの様子>